企画展「日本のマンガが育てた子どもたち」
2025年1⽉31⽇(⾦)〜2025年3⽉2⽇(⽇)
休館日:火・木および2月19日(水)
高知まんがBASE 1Fまんが読書コーナー
高知市丸ノ内1-1-10 県立公文書館内
⽉・⽔・⾦:12:00 〜18:00、⼟・⽇・祝:10:00〜17:00
京都精華大学国際マンガ研究センターのユー・スギョン氏がキュレーターとして関わる企画展『日本のマンガが育てた子どもたち』展を開催します。
展覧会では、台湾出身の注目のイラストレーター・マンガ家の高妍(ガオイェン)による『隙間』(月刊コミックビーム)や『緑の歌』(月刊コミックビーム)の複製原画を展示するほか、韓国の大学でマンガを教えながら作家活動を行う韓国出身のWebtoonマンガ家、GALGAMAKE(ガルガマギ)の複製原画も展示します。
日本のマンガに育てられた世界各国のマンガ家によって描かれた作品と書籍を通じて、日本を超え、グローバルな文化になってきているマンガの“力”を感じ取れる内容となっています。
また、2025年3月1日(土)「第11回 全国漫画家大会議 in まんが王国・土佐」会場(高知市文化プラザかるぽーと7F)にて著者によるサイン会も開催予定です。
世界中で愛されている日本のマンガ。日本マンガ受容の歴史は、韓国、台湾などの東アジアでは1960年代頃から、そしてヨーロッパと北米では、1990年前後から本格的に始まりました。今は、アフリカ、南米、中東などの地域にも日本マンガのファンは多くいます。
東アジアでは60年近く、ヨーロッパや北米でも40年近くの歴史を経て、マンガは日本文化でありながら、世界の文化にもなっています。日本のマンガ読者同様、海外の読者も自分が読んで育ったマンガを「自分の人生の一部=自分の文化」として認識しています。このような、「日本のマンガが育てた子どもたち」の中には、マンガ家になる夢を抱く人もいます。本展覧会の出展作家、台湾出身の高妍(ガオイェン)さんと韓国出身のGALGAMAKEさんは、その夢を実現させ、自分を育ててくれたマンガの故郷=日本でも活躍しているいい例だと言えます。本展に展示されている高妍(ガオイェン)さんの「隙間」は、日本マンガの文法が多く採用された作品ですが、台湾人主人公の目に映った「異国」としての日本が描かれているなど、日本出身のマンガ家には表現できない視点も見られます。また、GALGAMAKEさんは、韓国と日本でマンガ教育を受け、マンガ家として活躍した後、今はWebtoon(ウェブトゥーン)の制作を中心に行っています。日本でマンガを研究し、マンガ家として活躍した経験は、ウェブトゥーン制作の際にも役立っているそうです。
お二人の作品を通して、日本のマンガが育てた(元)子どもたちの活躍を知っていただくとともに、国境を超えていくマンガの力、そして、日本と世界各国出身の作家が織りなすマンガの未来を想像していただくことができれば幸いです。
京都精華⼤学国際マンガ研究センター
ユー・スギョン
隙間
著者:⾼妍 (ガオ・イェン)
掲載紙:⽉刊コミックビーム
掲載年:2023年5⽉号〜連載中
【作品概要】
主⼈公は、台湾・台北で暮らす⼥⼦⼤⽣の楊洋(ヤンヤン)。 ⼼をすり減らしながらも懸命に介護を続けていた⼤切な祖⺟が亡くなってしまう。傷⼼の中、⼼の⽀えとなっていた男性には別の相⼿がいて、⾃分を愛してくれないと知る。そんな折、交換留学⽣として、台湾を離れて沖縄へ⾏くことになった楊洋は様々な⼈々との出会いを経験して……。過去を邂逅しながら新しい世界を切り開く⼀⼈の⼥性の成⻑物語。
緑の歌 -収集群風-
著 者:⾼妍 ( ガオ・イェン)
掲載紙:⽉刊コミックビーム
掲載年:2021年6⽉〜2022年5⽉
【作品概要】
物語の主⼈公は、台湾のとある海辺に暮らし、⾳楽と物語を愛する⼥⼦⾼⽣・緑(リュ)。ある⽇ふとしたきっかけで、緑は はっぴいえんどの楽曲『⾵をあつめて』に出会う。初めて聴くはずの曲になぜか懐かしさを覚え、『⾵をあつめて』は緑にとって⼤きな存在になっていく。時は流れ、台北の⼤学に進学し⼀⼈暮らしを始めた緑は、学⽣⽣活に馴染めずにいた。とてつもなくついてないこと続きのある⽇、緑は⾳楽と真摯に向き合う⻘年・南峻( ナンジュン ) と出会い……。
하수도(下⽔道 )
著 者:GALGAMAKE(ガルガマギ)
掲載:KAKAO PAGE / KAKAO WEBTOON
掲載年:2023年〜
【作品概要】
未解決事件により妻と娘を失ったあと、10年近く、⼥性をターゲットにする犯罪者たちを裁きながら事件の⽷⼝を探している⽼刑事・天道鉄(チョン・ドチョル)。10年ぶりに韓国に帰国し、この国に広がっている⼥性蔑視の傾向に気づきながらも、⾃分の能⼒を認めてもらいたい⼥性刑事・池⽔元(チ・スウォン)。姉が原因で⼥性恐怖症となり、⼥性とは簡単な会話もできない引きこもりの⻘年・安下⾥(アン・ハリ)。安下⾥を利⽤して便器の底に隠れ、⼥性を⾷おうとする巨⼤な怪物・ソラゲ。3⼈の主⼈公と怪物により繰り広げられるミステリーサスペンスドラマ。現在パート1が完結。
⾼妍(ガオ・イェン)
イラストレーター・漫画家
1996年、台湾・台北⽣まれ。台湾芸術⼤学視覚伝達デザイン学系卒業、沖縄県⽴芸術⼤学絵画専攻に短期留学。漫画の著書に『緑の歌 – 収集群⾵ – 』上・下巻、 『隙間』 (ともにKADOKAWA)がある。イラストレーターとしては村上春樹の⼩説『猫を棄てる ⽗親について語るとき』の装・挿画などを⼿掛ける。
@_gao_yan(https://x.com/_gao_yan)
GALGAMAKE(ガルガマギ)
/出嶋岩⼦
1984年、韓国⽣まれ。韓国の国⽴公州⼤学校の漫画アニメーション学科卒業。⽇本の京都精華⼤学⼤学院マンガ研究科で博⼠前期課程修了。出嶋岩⼦名義で、「ヤドカリ」(wwwave comics)などの作品を⽇本のメディアで発表。GALGAMAKE名義で、「下⽔道」(KAKAO WEBTOON)他、韓国のウェブトゥーンプラットフォームでも作品を発表している。現在はマンガ家として活動する傍ら、韓国の⼜松情報⼤学漫画ウェブトゥーン科の教授も務めている。
ユー・スギョン
京都精華⼤学芸術学部ストーリーマンガ専⾨分野卒業、京都精華⼤学⼤学院芸術研究科博⼠後期課程修了。(芸術学博⼠)博⼠前期課程のころからマンガ表現論を主に研究。特に興味があるのは⽂化や媒体の特徴によるマンガ表現の変化。京都精華⼤学国際マンガ研究センター、同⼤学アジア・アフリカ現代⽂化研究センター所属。